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処女作を晒してみます


 昨日は、春とは思えないほど寒い一日でした。地球温暖化は本当に事実なのでしょうか (プルプルプル)
 ブログの更新をノホホンと怠っていましたら、その隙を突かれブログのトップを広告どもに
 占拠されてしまいました orz
 何か記事をアップして、無粋な輩(広告)は排除せねば!トップページは私の領地なのだ!
 ウーム……、よしっ、今日はこのネタを使ってみよう。

 私は、今から丁度二年ほど前に小説を書き始めました。
 『 ライトノベル作法研究所 』との出会いがきっかけでした。そのとき四苦八苦してようやく書き上げたのが
 この作品です。
 当時開催されていた、第3回電撃リトルリーグに応募するために執筆しました。思い出深い作品です (しみじみ)
 本日は、この処女作をブログに晒してみようと思います。



  UFO少女デン子ちゃん     作:ただのすけ

 彼女に友達はいない。
 もう誰も話しかけようとはしない。
 容姿は人並みで、少し地味で暗い感じだ。
 でもこの学校で彼女を知らない者はいない。

 彼女が転向してきた三ヶ月ほど前。
 先生に促され、淡々と自己紹介を始めた彼女は、
 いきなり、自分が実は宇宙人だと話し始めたのだ。
 最初はみんな冗談だと思って、教室がどっと笑い声に溢れた。
 しかし彼女は意に介さず、凛と響く澄んだ声で話を続けた。
 難しそうな言葉が絡んで僕にはほとんど意味不明だった。
 教室がすっかり静まり返ってしまっても、彼女は話を続けた。
 先生が慌てて話を遮って、隅っこの空けてあった席に彼女を座らせた。

 それから何人か彼女に話しかけた生徒もいたが、
 相変わらず、自分がいかに宇宙人であるか、ということを長々と説明してくるので、
 みんな気味わるがって近づかなくなっていった。 
 彼女を宇宙人だと信じる、と豪語する者も現れたが、
 彼女が差し出した手を握ったあと、彼女は彼らを無視した。

 ものの一週間で、彼女と話そうとする者は皆無になった。
 みんなは陰で彼女のことを「デン子ちゃん」と呼んでいた。
 「デンパ」をもじってつけたあだ名だろう。

 ある日、図書室で少し調べものをしたあとで、
 机に忘れた数学のプリントを取りに教室に戻ると、
 彼女が一人で、窓辺で夕焼けを眺めていた。
 なんだか寂しそうな姿に、おもわず声をかけた。
 返事はなかった。
 すたすたと近づいて、もう一度「どうした?」と訊ねた。
 「誰も信じてくれない」
 こちらを見ようともせずに彼女はつぶやいた。
 「ああ、あの宇宙人だって話か」
 傍の机に腰掛けて、夕焼けを眺めながら話を合わせた。
 きれいな夕焼けだ。
 「本当に宇宙人なのか?」
 しばらくして、ゆっくりうなずく彼女を見て、ああ本当なんだと思った。
 
  常識だけが真実ではない。

 「信じるよ」
 そう話すと、彼女はゆっくりとこっちを向いて右手を差し出した。
 握り返して、しばらくの間、沈黙が続いた。
 すると、彼女は驚いたように大きく目を見開いた。
 それからボロボロと涙を流してその場に泣き崩れた。
 しばらく泣いた後、彼女がハンカチで涙を拭きながら僕に何度もお礼を繰り返した。
 そうしてるうちに、窓の外にまばゆい光が広がった。
 目を開けると、窓には銀色に鈍く光る円盤が浮かんでいた。
 さすがに驚いた僕に、彼女は事情を説明してくれた。
 彼女は卒業の実技試験のために地球に来ていた。
 課題は「クラスメイトの中の誰かに宇宙人だと信じてもらうこと」だった。
 彼女は、最初はこんなに困難な課題だとは思ってもいなかったらしい。
 信じると言ってくれる者も、手を握って心をのぞくと、誰も本気で信じてなかったそうだ。
 最近ではすっかり諦め、疲れ、途方にくれていたらしい。
 しかし、僕は本当に信じた。
 彼女は見事に試験をパスしたのだ。
 「これで星に帰れます、本当にありがとう」
 満面の笑顔でデン子ちゃんは微笑んだ。

 屋上で、真上に浮かぶ銀色のUFOから照射されたビームが彼女を包んだ。
 一度ふわりと浮かんでから、少しずつUFOのほうへ運ばれていく。
 彼女は大きく手を振った。
 僕も大きく手を振り返した。
 彼女がUFOの中に消え、ビームの照射が終わってしばらく経つと、
 再びまばゆい光に包まれたUFOは一瞬にして消えてしまった。
 UFOの無くなった虚空をしばし眺めて、それからゆっくりと大きく伸びをした。
 屋上の手すりにもたれてオレンジ色に染まったグランドを眺めると、
 何事もなかったようにサッカー部の連中が練習に励んでいた。
 ・・・まったく、みんな常識にとらわれすぎだよな・・・
 夕日にほんのり染まった風景をのんびり鑑賞しながら、
 僕は彼女のうれしそうな笑顔を思い出して、
 おもわずポツリとつぶやいた。

  ・・・ところで・・・宇宙人っておいしいのかな・・・

 夕日に伸びた彼の影が生き物のようにうねり出し、
 羽を広げた巨大な怪鳥のような漆黒のシルエットが、屋上を黒く染めあげていた。




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ジャンル : 小説・文学

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